美容室で「待つ」時代の終わり。40代から準備する、高付加価値な訪問美容という選択肢

こんにちは、hoshi’s-noteです。

美容師として長く現場に立っていると、お客様と過ごす時間は10年、20年という長いスパンになっていきます。

僕自身、共に年齢を重ね、人生の節目を一緒に共有してきたお客様も沢山います。

しかし、どれだけ深い信頼関係を築いていても、決して抗えない現実があります。 それは、お互いに老いていくということです。

「最近、足腰が痛くてお店の階段を上がるのが辛くなってきたの」

「親の介護が始まって、長時間家を空けられなくなってしまって」

そんな理由から、本当は髪を切りたいのに、泣く泣くサロンへの来店を諦めたり、来店周期が長くなるお客様もいます。

長年通ってくださった方が離れていくのを見送るのは、美容師として非常に無力で寂しいものです。

僕たち美容室のビジネスは、長らくお客様が自ら足を運んでくれることを前提とした、待つビジネスモデルでした。しかし、超高齢社会を迎えた今、その限界はすでに目の前に迫っています。

今回は、僕が現在準備を進めている「訪問美容」という新しい働き方と、そこに込めた思いについてお話しします。

「安売りのボランティア」という思い込みを捨てる

美容師仲間に訪問美容の話をすると、大体このようなイメージを持っています。

施設に行き、ブルーシートを敷いて、短時間で流れ作業のように髪を短くする。あるいは、福祉的な意味合いが強いため、サロンでの施術よりも極端に安い料金で請け負うボランティアに近いもの。

僕のイメージもそうでした。

もしそのイメージを持っているのであれば、一度その固定観念を静かに手放してみてください。

僕が40代後半という年齢から準備を進めているのは、決して安売りの出張カットを考えてはいません。(現状は、準備中です)

長年のサロンワークで培ってきたすべての技術と接客を、お客様のプライベートな空間へそのままお届けする「高付加価値な訪問美容」で考えています。

長年サロンに通い詰めてくださった美意識の高いお客様は「ただ髪が短くなればいい」とは思っていません。

いつものスタイリストに、いつものように丁寧に髪を扱ってもらい、綺麗になることで心まで若返る。その「体験」そのものを求めています。

移動時間や専用の機材の準備、そして何より「あなたのためだけに赴く」という究極のパーソナルサービスである以上、サロンでの通常料金それ以上の適正な対価をいただくことは、ビジネスとして当然の考えです。

介護資格(初任者研修)は、お客様と自分を守る「盾」

この高付加価値な訪問美容を本格的に形にするため、僕は「介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)」の資格を取得しました。

美容師免許を持っていれば、法律上は訪問美容を行うことができます。しかし、ご高齢の方や体に不自由を抱える方のご自宅へ上がり、ハサミという刃物を扱う以上、そこにはサロンワークとは全く異なる次元の「リスク」が存在します。

車椅子からの安全な移乗方法、ベッド上での安楽な姿勢の保ち方、そして万が一の体調急変時の初動対応。

これらを専門的に学んでいるかどうかは、お客様ご本人はもちろん、ご家族の「安心感」に直結します。

「この人は髪を切るプロであると同時に、介助の基礎知識も持っている」という信頼の担保です。

何より心配だったのが「介護の知識が全くない状態」での訪問美容。

僕らは美容師で、介護職ではありません。介護知識も技能もありません。

そんな自分がサロン以外の場所で、介助の必要なお客様に施術することを想像したら、最低限の基礎知識は学びたいとなりました。

共に歳を重ね行く美容師へ

年齢とともに体力が落ち、若い頃のように1日何十人ものお客様を担当することが難しくなっていくのは、僕たち美容師も同じです。

店舗でひたすらお客様を「待つ」だけの働き方に固執していれば、いずれ自分自身の体力も、ご来店いただけるお客様の数も先細りしていきます。

しかし、視点を変えて自ら「行く」という選択肢を持てば、僕たちが提供できる価値の寿命はもっと長く、深いものになるのではないか。

僕も今はまだ準備中で、たまにお客様の高齢になるご両親のヘアカットをさせてもらっています。

勉強中の身ですので、まだまだ不慣れで手際が良いとはお世辞にも言えないですが…

本当にいい勉強をさせてもらっています。