個人事業主の美容師のインボイスをわかりやすく話してみる

インボイス制度(適格請求書保存方式)については、僕たち美容業界でもかなり話題になりました。

結論からお伝えすると、

「インボイスは、すべての人に関係があるわけではないけれど無視もできない」

という、ちょっと絶妙な立ち位置なんです。

僕なりに噛み砕いてお話ししますね。

インボイスとは?

美容室におけるインボイス制度は、美容室とお客様が消費税を正確にやり取りするためのルールです。

技術・サービス提供側の美容室が、施術を受ける側のお客様にインボイスを発行することで、お客様はカット代の消費税を正しく計算して申告することができます。

登録すると適格請求書発行事業者となり、美容師のあなたがお客様にお渡しする領収書に登録番号を記載します。

T0000000000000

みたいなT13桁の数字の番号です。

この登録番号が書かれた領収書でないと「正しい消費税でちゃんと国に納められることを証明できない」というものです。

・・

・・・・

???

「で?」となるかもしれません。

とにかく、このインボイス制度により、個人事業主の美容師は課税事業者として登録するかしないかを選択する必要があるのです。

では、インボイス制度が始まって美容師側とお客様側で何が変わるのか、わかりやすく説明します。

1. お客様:なぜ「番号入りの領収書」が欲しいの?

お客様の中には、このような方々もいたりしませんか?

  • 会社経営者
  • 個人事業主(フリーランス)
  • 弁護士など士業の方
  • モデル

このようなお客様は、美容室の支払いが「経費」になることがあります。

  • インボイス(登録番号)がある場合
    お客様は、美容室で払った消費税を自分が国に納める税金から差し引くことができます。
  • インボイスがない場合
    お客様は、美容室で消費税を払ったのに自分の税金から差し引くことができません。
    つまり「税金を二重に払っている」ような損をした気分になってしまうんです。

お客様の本音としては「経費で落としたいから、どうせなら税金が安くなる(インボイスが出る)お店に行きたいな」となるかもしれません。

2. 美容師:登録するか、しないかの分かれ道

僕たち美容師には2つの選択肢しかありません。

インボイス登録をする(課税事業者になる)

  • メリット
    「インボイス出せます!」と言えるのでお客様のご負担を減らせます。
    領収書を持っていくお客様からの信頼が上がるかも。
  • デメリット
    売上が1,000万円以下でも消費税を国に納める義務が発生します。その分、手残りも減ってしまいます。

インボイス登録をしない(免税事業者のまま)

  • メリット
    売上が1,000万円以下なら消費税を納める必要がありません。利益がそのまま手元に残ります。
  • デメリット
    インボイスが出せないので、経費にしたいお客様にとっての負担増。失客リスクが増える。

美容室経営者とインボイスの「意外な関係」

お客様が「一般の方」なら、あまり関係ない

僕たち美容師のメインのお客様は一般の方々が多いと思います。

一般のお客様とは、一番わかりやすいのがお会計の時に「領収書ください」と言わないお客様です。

  • 会社勤めのお客様
  • 公務員
  • 主婦
  • 学生
  • フリーター

必ずしもというわけではないが、

「インボイス登録番号入りの領収書をください」と言わないお客様です。

だから、個人店美容室で年間売上1,000万円超えない経営者は、あえてインボイス登録をせず「免税事業者」のままでいても、大きな影響はないケースが多いんです。

「会社のお金」で来るお客さまがいる場合は注意

逆に、以下のようなケースでは「インボイスがないと困る」と言われることがあります。

  • 会社の福利厚生などでカットに来る。
  • 撮影のヘアメイク代を会社に請求する。
  • 交際費や福利厚生費として経理処理したい。

相手が会社(事業主)の場合、僕たちがインボイスを出せないと、相手が払う税金が少し増えてしまうんです。

「あそこの美容室はインボイスが出ないから、別のところに変えようかな」となってしまうリスクが、ゼロではありません。

「業務委託」で働くなら避けて通れないかも

もしあなたが自分のお店を持たず、どこかのサロンで業務委託で働くなら話は別です。

サロン側からすれば、あなたがインボイス登録していないと、サロン側の税金負担が増えてしまいます。

そのため「インボイスに登録している人じゃないと契約できません」というお店もあります。

登録していない業務委託美容師は、その分歩合率が悪かったりと報酬が低くなるケースも出てきます。

業務委託美容師が「インボイスに登録するべきかどうか」で迷ったら、この計算ツールを使って判断の目安としてみたください。
業務委託美容師のインボイス手取り試算シミュレーター→

結局、美容室はどうすればいいの?

僕がアドバイスするなら、まずは「自分のお客さまが誰か」をじっくり見てみることです。

  • 地域密着で一般のお客様がメイン
    急いで登録しなくても大丈夫。売上が1,000万円を超えてから考えても遅くありません。
  • 都心部で法人客やモデルさんが多い
    インボイス登録を検討したほうがいいかもしれません。

業務委託美容師の場合は?

年間売上が税込1,000万円ないなら働く美容室と相談してから考える。で、いいと思います。

個人事業主が消費税を納めるようになると、一気に現金が減ります。払うもんは払うしかないのですが、一気に減るというのが精神的に辛いところです。

最初から『消費税納税のための現金』として分けて考えていればいいですが。

とにかく、年間売上1,000万円超える業務委託美容師さんは、簡易課税届を出してからきちんと納税しましょう。

美容師は簡易課税とのセットで覚えておきましょう

ここで、前回お話しした「消費税の簡易課税」がまた出てきます。

もしインボイス登録をして消費税を払うことになったら、簡易課税届けを提出すれば大丈夫!
事務作業も納税額もグッと抑えられます。

インボイスと簡易課税はセットで覚えておくといいです。

まとめると……

「インボイスが始まったから登録しなきゃいけない!」と焦る必要はありません。

でも「自分のお客さまに不利益がないか?」という視点だけは持っておきたいですね。

まぁ、難しいですよね。でも、こうした知識の積み重ねが、あなたやあなたの家族を守ってくれるはずです。

僕は「間違った申告してしまったらどうしよ〜」となる心配性タイプなので、自分ではやりません。

というか、出来ないことはないが、他に時間を使いたいのです。

美容師の消費税と簡易課税のお話はこちら。