30年で激変した美容業界。店舗を構え、スタッフを育ててきた僕たち世代が、今立ち止まって思うこと。

こんにちは、hoshi’s-noteです。

美容師として27年。振り返ってみると、僕たちの業界はこの30年で、まるで別の世界のように姿を変えてしまいました。

専門学校が1年制から2年制になり、技術の習得方法も、お客様との出会い方も、そして美容師の働き方も、次々と塗り替えられてきました。

かつての常識が通用しなくなった今、店舗を構え、スタッフを育成することに心血を注いできた僕ら世代は、大きな時代の分岐点に立たされてると思っています。

雑誌の「有名店」から、スマホの中の「数字」へ

僕が美容師を始めた頃は、雑誌に掲載される有名店やカリスマ美容師が業界の太陽でした。消費者は雑誌を見て憧れ、遠くからでもその店を目指してやってきました。

もちろん、僕ら美容師の多くも表参道や青山、原宿、渋谷といった美容室激戦区で美容師となること目指していました。

それが「ホットペッパー」というフリーペーパーの登場で一変します。

情報が民主化され、誰もが手軽にサロンを選べるようになりました。さらにスマホの普及と共に、戦場はウェブ媒体へと移り、ネット予約が当たり前の時代になります。

「技術やセンス」で選ばれる時代から、媒体上での「写真の映え」や「クーポン価格」、そして「口コミの数」という数字で比較される時代へ。

この変化は、僕ら職人肌の美容師にとって、最初の大きな戸惑いだったかもしれません。

ホント、お客様の美容室選びを一変させたんですよね。

「個」の台頭と、揺らぐサロンの存在意義

さらに大きな変化は、SNSの普及によってもたらされました。

「店」のブランドよりも「個人」のブランドが強くなり、美容師の働き方は多様化しました。

  • 業務委託美容師やフリーランス美容師の急増
  • シェアサロンの普及

これらは、高い家賃や人件費といった「固定費」を抱えずに自由に働くスタイルを可能にしました。

一方で、僕ら世代のように「店舗を構え、多額の投資をし、時間をかけてスタッフを一人前に育てる」というビジネスモデルは、非常に厳しい局面となっています。

手塩にかけて育てたスタッフが、SNSで集客力をつけ、そのままフリーランスとして独立していく。

なんていうか、育成に注いだ情熱とコストが、システムの影に消えていくような感覚。

それは、経営者としても、一人の美容師としても言葉にならない感覚とでもいうか…

古い価値観なのかもしれません。

「積み上げてきたもの」は、決して無駄にはならない

自由な働き方が浸透した今、固定費を抱える僕たちのスタイルは、効率が悪いように見えるかもしれません。

しかし、僕は思うのです。

この12年、歯を食いしばって店舗を経営し、人と向き合い続けてきた経験。

そこから生まれた「個としての深み」は、決してデジタルの数字や一時的な流行では代替できないものであると。

僕は2年前に急性白血病を患い、1年間の闘病を経験しました。

仕事を離れて自分を見つめ直したとき、最後に残ったのは、やはり人との繋がりであり、27年積み上げてきた技術への誠実さでした。

美容業界は、良くも悪くも時代の変化と共に変わってきました。これは仕方のないことであり、当たり前だとも思います。

最近、60代の大先輩と会いました。青山で20年以上美容室経営している大先輩です。お酒抜きで1時間ちょっとお話ししました。

僕なんか、まだまだです。美容業界の変化も何も乗り越えて、サロンワークも経営も頑張っている60代美容師に比べたら、全然まだまだでした。

その大先輩は、業界の変化に、時代の変化に、うま〜く乗って収益も増やせているとのこと。

僕より20年も長く美容師として活躍している姿は、自分の美容師としての未来への不安を払拭してくれるものでした。

美容業界が変わっていっても、僕たちがお客様を想う本質は変わりません。

変化の激しい時代だからこそ、僕ら世代にしか出せない「深み」を大切にしたいですね。