美容室の危機で試される本質:客数が激減したときに私が「営業LINE」を捨てて送ったもの

こんにちは、hoshi’s-noteです。

何でもアプリで管理し、売上をデータで逆算する時代。 当サイトでも、そんな美容師のバックオフィスをスマートにするための「道具(TOOLS)」を提供しています。

面倒な税金計算や予約管理は、デジタルの力を借りて1秒でも早く終わらせるべき。それは今でも私の変わらないスタンスです。

しかし、効率化やデジタル化という言葉に踊らされるあまり、私たち美容師が絶対に手放してはいけない「泥臭い本質」まで引き算してしまっていないか? と、ふと立ち止まって考えることがあります。

27年というキャリアの中で、私が辿り着いたひとつの答えがあります。 それは、どれだけ時代が変わっても、私たちが絶対に効率化してはいけない、人に任せてはいけない聖域があるということです。

それが、お客様への「気遣い、心遣い」という領域です。

客数が半分になった極限状態で、私が選んだ「泥臭い足し算」

今でも鮮明に覚えている記憶があります。 数年前、コロナ禍における緊急事態宣言の真っ只中。東京都心の美容室はどこも直撃を受け、私のサロンでもお客様の数は一気に半分にまで落ち込みました。

明日どうなるか分からない。悩んでいても、怯んでいても、状況は何も変わりません。多くのサロンが「お店は感染対策を徹底して営業しています」「ぜひ来てください」とSNSやメルマガで一斉送信の営業メッセージを送っていました。

そんな時、私が取った行動は、デジタルでの一斉送信でも、手軽なポストカードでもなく「便箋に手書きでお手紙を書く」という、今の時代から見れば呆れるほど非効率で泥臭い方法でした。

何百人ものお客様お一人おひとりの顔を思い浮かべながらペンを握る。1枚1枚すべて手書きで丁寧に。時間はたっぷりありましたから。

そこに書いたのは「お店に来てください」という営業の言葉はありません。

「今は何より、〇〇さんとご家族のお身体を最優先に、くれぐれもお気を付けてお過ごしください」

ただそれだけを、便箋に綴ってポストに投函しました。

売上が消えかけている恐怖の中で、売上を生まない手紙を書き続ける。効率というモノサシで測れば、これは完全な無駄であり、意味のない行動かもしれません。

しかし、結果はどうだったか。

街に少しずつ活気が戻り、お客様が恐る恐る髪を切りに行こうと思ったとき、真っ先に思い出して戻ってきてくださったのは…。

効率化(引き算)の本当の目的とは何か

タップひとつ、ワンクリックで送れるLINEのメッセージは確かに軽くて便利です。

ですが、私たちが本当に受け取りたい「信頼の奥行き」は、手書きの便箋が持つあの独特の重みや、自分のために時間を割いてくれたという事実にしか宿りません。

ここで勘違いしてはいけないのは、私は「デジタルカルテや予約システムを使うな」と言いたいわけではないということです。

むしろ逆です。

私たちが予約管理や売上計算を徹底的にデジタルで効率化(引き算)する本当の目的は、楽をするためではなく、浮いたすべてのエネルギーと時間を、こうした「目の前のお客様への泥臭い心遣い(足し算)」に100%注ぎ込むためです。

裏方の作業はiPadのように圧倒的に軽く。

しかし、目の前のお客様と対峙する時は、ハサミのようにズッシリと重く。

流行に流されない、本当の信頼関係を作るために

お客様からの圧倒的な信頼

これは、SNSの派手なフォロワー数や、効率化されたシステムからは生まれません。

誰も見ていないところで、どれだけ泥臭くお客様の人生に寄り添えるか。

時代は変わっても、その不器用なまでの気遣いの積み重ねだけが、5年後も10年後も切れない強い絆を作ります。