こんにちは、hoshi’s-noteです。
大型の台風や大雪の予報が出るたびに、僕ら美容師が必ず悩むことがあります。
「お店を開けるべきか、それとも休むべきか」
特にフリーランスや業務委託として働く美容師にとって、当日のキャンセルは売上の直撃を意味するため、判断は非常にシビアになりますよね。
しかし、人手不足が深刻化する現在の美容業界において、本当に無理をしてまで出勤する価値はあるのでしょうか。
僕の27年間の現場経験をもとに、災害時における「本当の経済的コスト」と、僕が辿り着いた「前日休業ルール」について、安全の観点から論理的に考えてみます。
頑張ってサロンを開けた日に、私が経験した現実
「どんな悪天候でもお店を開けて待つのがサービス業」
かつては僕もそう信じていた時期がありました。
しかし、今振り返ると、それは経営リスクをただ垂れ流していただけだったと感じます。実際に私が現場で経験した、悪天候時の3つの現実をお話しします。
私が現場で目撃した、悪天候時の3つの現実
1. 売上ゼロの絶望
台風の暴風雨のなか、なんとか頑張ってお店を開けて待機していたものの、直前でお客様から「公共交通機関が止まったので行けません」とキャンセルの連絡が入り、結局その日の売上が完全にゼロになりました。
2. 想定外の赤字出費
台風じゃないけど、大雪予報の日に「明日の朝、電車が止まったら出勤できない」と焦り、前日から職場近くのホテルに自費で前泊したり。
また、当日は麻痺した道路のなか、高額なタクシーと地下鉄を必死に乗り継いで出勤した結果、交通費とだけで赤字の出費を叩き出す結果。
3. 喜んでもらえた記憶
一方で、お客様から「電車が動いていたら、今日行ってもいいですか?」というご要望にお応えすることができて、無理をしてでもそれにお応えできたことで、心から感謝され喜んでいただけた温かい記憶も残っています。
喜んでくれるお客様がいることは、美容師冥利に尽きます。しかし、だからこそ「判断の基準」がブレてしまい、結果的に大赤字や危険を伴う出勤を繰り返してしまう働き方のバグが起きていました。
年1回あるかないかの日に、命と売上を天秤にかけない
冷静に考えてみましょう。
東京都心において、交通機関が完全にストップするほどの大型台風や大雪が直撃する日は、年間で考えたら「1日あるかないか」です。
現在の美容業界は空前の人手不足です。
サロン側からすれば、インボイスや悪天候などを理由に無理を強いて、優秀なフリーランス美容師に他店へ移籍されてしまうことこそが最大の致命傷になります。そのため、サロン側も「無理に出勤させない防衛策」や「サロン側でリスクを負担する措置」を取るケースもあるはずです。
その、たった1日の売上のために、もしお客様が来客途中に怪我をしてしまったら。もしあなた自身が災害に巻き込まれたら。あるいは施術中に停電が起きてサロンの営業が継続できなくなったら。
その時、サロンや個人が背負う損害は、1日の売上とは比較にならないほど巨大です。
命や安全という「本質」を売上という数字と天秤にかけるのは、費用対効果が圧倒的に合わない経営判断なのです。
僕のお店で決めた「前日運休発表ベース」のルール
天候の影響によりJRなどの各種公共交通機関から運休発表が出たら、お客様に連絡して店を休む。
失敗と試行錯誤を繰り返した結果、現在の僕のサロンでは、感覚に頼らない明確な休業基準をルール化しています。
近年の公共交通機関は、かなりの悪天候が予想される場合、事前に運休という判断を早めに発表してくれます。
電車が動かないなら、もう潔く仕事は休みにする。これでいいと思います。
このルールを徹底することで、お客様も美容師側も災害リスクを完全に回避し、自宅で安全に過ごすことができるようになりました。
ここで重要なのは、キャンセルの連絡を入れる際、ただ事務的に断るのではなく「〇〇さんも、くれぐれもお気をつけください」というおもてなしの一言を必ず添えることです。
日頃からお客様との間に深い信頼関係ができていれば、この一言だけでお客様はむしろこちらの配慮を喜んでくださり、お客様の方から事前にスマートに日程変更をしてくれる好循環が生まれます。
大前提として、お客様といつでも繋がる「導線」を確保する
この先回りのリスク管理を行うために、絶対に欠かせない技術的な大前提があります。
それは、サロンの固定電話やシステムに依存せず「スタイリスト個人が、いつでもお客様に即座に連絡できるデジタルな手段」を確保していることです。
注意すべきは、有事の際に必ずお客様と直接連絡できるルートを持っているか、という点です。
公式LINEや、クラウド型の顧客管理アプリなど、場所を選ばずに顧客とエンゲージメントを高められる仕組みを作っておくこと。
バックオフィスのデジタル化を進めておくことこそが、有事の際に自分自身と、大切なお客様の安全を守る最大の防壁になります。
もう「美容師たるもの何としてでもお客様のために、お店のために出勤する」という時代ではなく、何を大切にするかをよく考えて動くべきです。