こんにちは。hoshi’s-noteです。
以前、書いたコレ
「ヘアカラーが出来なくなる?」中東情勢による美容室の材料供給不足を考える。
美容師なら、材料が仕入れられなくなる心配
お客様なら、カラーやパーマができなくなる心配
どちらも不安になります。
では「具体的に美容室の材料の何がどうやって石油と繋がっているのか?」という疑問もありますよね。
確かに、カラー剤やパーマ液を見ても、それが石油からできているなんて想像もつきませんよね。
そこで今回は、美容師の僕が普段はあまり語られない「カラー剤の中身」について、お話ししたいと思います。
カラー剤のチューブの中身を解剖してみよう
美容室で使うカラー剤(1剤と呼ばれるもの)のチューブ。
だいたい80gから100gくらいのクリームが入っていますが、実はこの中身、大きく分けると4つの成分でできています。
- 水(精製水):約60〜70%
- 油分・高級アルコール:約15〜20%(クリームのベース)
- 界面活性剤・乳化剤:約5〜10%(水と油を混ぜる成分)
- 有効成分:約1〜5%(髪を染める染料など)
実は半分以上が「水」
一番多いのは、なんと「水」です。全体の6割から7割を占めています。意外ですよね。
水をのぞいた「残りの成分」の多くが石油由来
問題はここからです。水をのぞいた残りの成分(油分や固形分など)に注目してみると、じつにその7割〜8割近くが、石油を精製して作られた化学物質で構成されています。
製品全体のボリュームで見ると「約2〜3割が石油由来の成分」ということになります。
あの髪にピタッと密着する滑らかなクリーム状を保つための油分や、水と油をきれいに混ぜ合わせるための成分(界面活性剤)には、石油から作られた素材が欠かせないのです。
美容室のあちこちに隠れる「石油」
成分だけでなく、美容室の薬剤がどれだけ石油に支えられているか、3つの事実をご紹介します。
鮮やかな色を作る「タール色素」
カラー剤の染料は、化学の世界では「タール色素」というグループに分類されます。
その100%近くが石油(ナフサと呼ばれるもの)から合成されています。 つまり、「タール色素=石油から作られている」ということです。
パーマ液にも石油
カラー剤だけでなく、パーマ液も同じです。髪の形を変える主成分そのものは別の化学物質ですが、それを髪の奥までしっかり浸透させたり、液体の状態を安定させたりするための「溶剤」と呼ばれる成分の多くは、石油由来のものが使われています。
とはいえ「石油由来=悪」というわけではありません。
ここまで読むと、「石油から作られたものを頭に塗るなんて怖い」「身体に悪いんじゃないか?」と不安に思う方もいるかもしれませんよね。
ただ、だからといって僕は石油由来=悪とは思っていません。
一般的な美容室で使用する薬剤の多くが化学製品です。これらはすべて、長年の研究で培われた「高度な石油化学のテクノロジー」の恩恵なのではないでしょうか。
厳しい安全基準をクリアして精製された成分だからこそ、僕たち美容師はお客様の髪を美しくすることができているのかと思っています。
僕が美容業界に入った90年代後半には、今ほどキレイな色を表現するヘアカラー剤はありませんでしたし。
現在のヘアスタイル作りには、石油の力なしには成り立たないのが正直なところです。
オーガニックや植物由来なら影響はない?
最近は「オーガニックカラー」や「植物由来成分配合」といった、自然派の製品も増えてきました。ヤシ油やパーム油などに置き換える素晴らしい取り組みです。
「じゃあ、植物由来のカラー剤なら中東情勢(石油の値段)は関係ないよね?」と思うかもしれませんが、実はそう簡単な話ではありません。
植物由来成分を工場で抽出し、製品として作り上げるための「工場の機械を動かす電気や熱」、そして出来上がった製品を日本に運ぶ「船やトラックの燃料」は、すべて石油などの化石燃料に頼っています。
結局のところ、どんな製品であっても世界のエネルギー事情から逃れることはできないのです。
まとめ
カラー剤の成分を解剖していくと、僕たちが毎日当たり前のように使っているものが、遠い中東の情勢や、地球規模の資源と密接に繋がっていることが見えてきます。
石油価格が高騰したり、供給が不安定になったりすれば、回り回って僕たち美容室の薬剤の値段が上がり、結果的にお客様が支払う料金に影響してしまうかもしれません。
日々のサロンワークでできること。
- カラー剤を無駄にしない
- ゴムやラップなど、消耗品を大切にする
- シャンプーを出しすぎない
など、今すぐできることは結構あります。
これを機に見直すというわけではないですが、より気をつけようと思います。